「点滴の力」 よみがえった りょうちゃん

「ウォーン、ウォーン」AM3時りょうちゃんの鳴き声が始まった。暫らくしてやまんばが眠気を振り切ってキッチンに入って行く。「どうしたの?お腹が空いたの?」この所、食欲が激減して夕べも食べずに寝てるんだ。さすがにお腹が空いたろうといつものパウチを用意すると柔らかい方を食べだした。少しづつ手のひらに載せてやると普段の量の1/3位は食べただろうか。やまんばは一安心、喜んでりょうちゃんを暫らく抱っこするとベットに戻った。・・・・・

どの位たっただろう?又、りょうちゃんの鳴き声が始まった。さすがのやまんばも起きれないみたいでキッチンのドアの開く音はしなかった。・・・・・辺りが明るくなってきた頃、やまんばがキッチンに入る音がした。 「わー!スゴイ‼」 テーブルの下にりょうちゃんの嘔吐した汚物が広がっている。先ほど食べたパウチがほとんど全部吐き出されていた。

この調子では体力が落ち全く食べれなくなってしまうと今日は病院へ行く事にしていたもののこの事態で慌てた。お爺さんに手伝ってもらい爪を切ったり、キャリーバッグのシートを換えたり、僕の朝ごはんを用意すると「クーちゃん、ブラッシング帰ってからね。」と言ってりょうちゃんを入れたキャリーバッグをハンディーラックに取り付けると家を出て行った。

病院は犬が1匹いただけで、すぐりょうちゃんは呼ばれた。りょうちゃんのヤツ診察台の上で凄くいい子にしてたらしい。 点滴も注射も全然平気なんだ。調整剤の入った風邪薬を貰って帰って来た。
キッチンに入りりょうちゃんは牛乳を飲むとペロペロお昼ご飯をねだり元道理とは言えないけど食べれるようになっていた。

「凄いな!点滴の力って!」それから取り戻すかのようにテーブルの上にあがりパウチをねだったやまんばもお爺さんも嬉しい悲鳴となった。    やまんばは庭に出ると縁台で待ってた僕をブラッシングに誘った。

    『良かったな! りょうちゃん!』『りょうちゃんは点滴や注射より薬が何倍も苦手なんだよ。』

「りょうちゃん、行くよ!頑張って‼」

「なんだ!   この味は!????」

「済んだー!  フー‼」

「もう、 やだよ!  ちゃんと食べれるようになったのに」

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