夕刻、やまんばがもう、キッチンに立ち晩ごはんの準備を始めた時、「ババア!ちょっと!ババア‼」とオジサンが外から呼んだ。「アライグマが来とる! こんちゃんはもう中に入っとる。」「コンちゃん、アライグマでも何でも近寄って行くから危ない!」 やまんばは直ぐミーちゃんと僕の所在を確認。ミーちゃんはお隣の車の下、僕は縁台の上にいるのを確かめるとアライグマを確認。 柴犬位の大きさはある。相当なおじいさん、あるいはおばあさんみたいで、ゆっくりとしていて機敏な動きはない。 穏やかな性格に見える。側溝の水の中を気持ちよさそうにテコテコとこちらに向かって歩いてくる。冷たい水を楽しんでいるかのようにも見える。ザリガニを探しているのかな?「上に上がっちゃダメだよ。」やまんばが声を掛けるとくるりと方向転換をして引き返すと僕んちと隣の家の間に這い上がって来た。「上がって来たよー!ミーちゃん気を付けてー!」
ミーちゃんに気を取られている間にいつの間にか又、側溝に降り水の中を楽しんでいるかのように軽やかに
東に向かって歩いて行った。夕刻、まだ明るい内にミーちゃんも家に入った。僕もパウチにつられて倉庫に戻された。
やまんばは獰猛と恐れられているアライグマが可愛いヤツに思えた。もしかしてモフ子やキツネが命を落としているのかもしれないけど・・・・・やまんばは何を憎んでいいのか解からなくなってしまった。
ジャングルではライオンが弱い動物を襲う。アライグマだってそれと同じ行為をしてるんだ。人間社会にアライグマを持ち込んだのは人間じゃないか!
そして私達人間も牛、豚、鶏の命を頂いている。 生きるために・・・・・ 『自然界の節理』
やりきれないやまんばの脳裏にやはりモフ子やキツネが浮かんでくる。
冷たい水が気持ちよくて楽しんでるかのようにパシャパシャとこちらに向かって歩いてくる。
「上がって来ちゃダメだよ。」と言うと方向転換した。 言葉が解かるかのように・・・
凄い‼
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