やまんばはゲージを開け僕を出すと花壇に様子を見に行き、しばらくしゃがみ込んで何やら頼んでいる。「去年のように大きくなってね。蕾もつけてね。」もう9月に入ろうという頃になって植えたインパチェンスやマリーゴールドにお願いしてるんだ。植えてからもう二週間がたつというのに一向に株が大きくならないし花もつかないんだ。何とかマリーゴールドは蕾をちらほら見せてくれるようになった。やまんばは去年のようにこんもりとした株に沢山の花を付けた華やかな花壇を思い描いていたんだ。
「無理よ!私達だって成長する時期がああるのよ。もうあの頃のようにがんばれないわ。まだまだ暑いけど明け方は肌寒いのよ。応えるわ。」
「私達もペンタスさんと同じ頃に植えてくれれば良かったのよ」
「僕からもお願いするよ。遅くてもいいからやまんばの夢かなえてやってくれよ。」「そうね、頑張ってみるけど私達も成長期は過ぎているから叶えられるかわからないわ。」
やまんばは去年のようなこんな華やかな花壇を思い描いていたんだ。
遅く植えたインパチェンスは二週間たっても株が大きくならないんだ。
これもそう。
いつもなら下の土や人形が見えなくなるほど株が大きくなって茂るんだけどな。
マリーゴールドはちらほら蕾を見せてくれるようになった。
早く植えたペンタスやインパチェンスは人形が隠れるほどみるみる大きくなった。
『僕からも頼むよ。頑張ってくれ。』
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