やまんばが、おやつの煮干しを持ってやって来た。 いつもなら偵察から帰ると縁台で待っているんだけど・・・・・・・・
「クーちゃん。 クーちゃん。」やまんばが呼んでいるけど「今、取込み中。目が離せないんだ。」
僕は知らん顔をしていた。 やまんばは煮干しを縁台の上に置き、じょうろに水を汲みやって来て、キンモクセイの木の下の僕を見つけ、
「クーちゃん、こんな所にいるやん。何してんの?」 「それどころじゃないんだよ。」僕は見向きもせずにキンモクセイの葉の茂みを見上げていた。 ミーちゃんもコンちゃんも網戸越しに僕と同じ処を見据えていた。
やまんばは「きっと、何かいるんだ!」と僕たちの目線を追った。・・・・・・・・・「見つけたー!」
やまんばは見つけてしまった。 鳩の巣があった。 そしてその巣の上をひっそりと親鳥がかぶさっているのが見えた。
「クーちゃん、登っちゃダメだよ!」 「ほら、又 始まった。僕が見つけて喜んでいるといつもこうなんだ。 スズメの
ひなの時もザリガニもトカゲも、やんなっちゃうよ。」・・・・・・・・・
「どうして、こんな猫のいる庭に巣を作ったんだ。ひなが孵ったら大変だよ。 どこかへ連れて行かなくちゃ!バカだなー」
きっと、新米の母さんどりなんだ。 やまんばは僕たちが木に登れないように傘を逆さまにしてキンモクセイの枝に掛けた。
夕刻より雨が降り出しやまんばは母さんどりを心配した。
「確かこの茂みの中に鳩が入って行ったんだ。」
「僕も見た、見た。 ねー、ミーちゃん。鳩さん入って行ったよね。」
ほら、竿から20㎝位上の所なんだけど・・・・・・・
「やまんばったら いつも邪魔に入るんだ。やんなっちゃうよ。」
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