夜も明け、明るくなって三時間も経つのにひなの声がしないんだ。 母さん鳩はまだエサを捕れないのかな?
僕もやまんばも気をもんでいた。 お爺さんもやって来て戸口の所へ立ちカーテンを開けて、巣を覗き込んでいた。
その時、 「アッ!母さん鳩が帰ってきた!」「ひなが二匹いるぞ!」 やまんばも誘われて、覗き込んでみた。
うずらの卵位の頭が二つ見えた。
それにしても、ひなの鳴き声がしないんだ。 ツバメはもっと頻繫にエサを運んでいたし、親どりがエサを捕って帰ると
ひなは大騒ぎで鳴いているのに、あまりに静かなんだ。
「母さん鳩がエサを捕るのが下手くそなのかな?」 「お腹が空いているだろうな?」
「ひなは元気に育っているのかな?」
「ここは僕たち猫がいるから声を立てないよう母さん鳩に言われているのかもしれないな。」
ともあれ、二匹のひなが僕たちの餌食になることなく元気に巣立ってくれたらと、やまんばやお爺さんは気をもんでいるんだ。
「ほら、母さん鳩の顔わかるでしょ。見えた?」
「父さん鳩も協力お願いしまーす。」
「僕たち、もう気になって仕方がないんだ。何もてにつかないよ。」
「コンちゃん、やめろよ! やまんばに叱られるよ。」
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