どんよりとしたお天気。やまんばは、いつもより早く庭に出て慌ただしく庭を行ったり来たりしている。不燃ごみ出しの日なんだ。それにお爺さんも病院に行くんだ。
オジサンがスプレー缶を持って出ようとした時、ミーちゃんが足元の隙間から駆け出した。「しまったー!」これから出掛けるところだというのに。ミーちゃんはフェンスを出て姿を消した。
やまんばのゴミ出しもひと段落して僕は朝ごはんを貰って、後一口というところで急に食べるのをやめサザンカの庭を振り返った。僕は体を伏せて注意深く歩き出した。「アッ! 何かいるんだ!ミーちゃんだな。」やまんばは音を立てないようにサザンカの庭に踏み入った。何もいない。・・・・・・フェンスから身を乗り出し側溝を覗くと「ミーちゃんがいた!」獣道をこちらに向かって歩いている。「ミーちゃんがいたよー!」
「ミーちゃん。ミーちゃん、おいで!」オジサンに精一杯のやさしい声で呼ばれている。ミーちゃんは倉庫の下にもぐり込んだ。・・・・・・ミーちゃんも自分がした事が良くないってわかっているんだ。僕だってこの状況が解かっているから協力してやったんだよ。「エッヘン!」
ご褒美にかつお節をチョットだけもらった。コンちゃんと半分こ。ミーちゃんは大好きなくせに食べようともせずに二階へ上がって行った。
「ミーちゃん、この獣道へ脱走したんだ。」
「ごめんなさーい・・・・」
「ミーちゃん、気にするなよ!」
「関係ないけど、オジサン、僕の事『大仏』って呼ぶんだ・・・・・」
コメント