父さん鳩、「何してたんだ!」

「ヤッター! 良かった!」 雨が上がった。
夕べの雨は凄かったな。雷もすごいんだ。空を駆け回ってるかのように鳴り響いていた。僕、倉庫の中でも怖かったよ。
鳩さんはお外でどんなに怖かっただろうな。あの雨ではいくら木の茂みの中とは言え背中が濡れただろう。
自分だけ逃げ出して屋根の下に入るわけにもいかないし、生まれて来るひなの為にじっと耐えていたんだ。
「新米母さん、えらいなー。 よく頑張ったよ。」  巣の上に追いかぶさった大勢は何があっても変わらないんだ。

夕刻、オジサンがミーちゃんとコンちゃんがキンモクセイの木を見上げているのでオジサンも見上げると、「アッ!鳩が飛んで行った!」「えっ!卵が死んでしまうんじゃないの?」やまんばが駆けつけた。「アッ!もう一羽巣におる!」
「えっ!父さん鳩もいたんだ。」  「良かったー!」お爺さんも話を聞きつけやって来た。「最初見た鳩とは顔が違う。」
皆でほっと安心した。

一匹では、水も飲まず、エサも食べず、それはそれは大変でしょう。心配していたんだ。

先ほど飛び立った鳩が帰ってモチの木に止まっている。「クークー」鳴くとどこかへ飛んで行った。

僕も、コンちゃんもミーちゃんも鳩の巣が気になって仕方ないんだ。

りょうちゃんだけは興味がないみたい。おじいさんだからな。

やまんばは僕たちが木に登れないように傘を二つにした。「ひなが孵ったらどうなるんだ。」今から気をもんでいるんだ。

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